まずG7の紹介から。主要7カ国(以下G7)の元になったのは、オイルショックに続く世界的不況への対応を協議するために1975年にフランスと西ドイツの呼びかけで、米英仏伊日も参加した6カ国経済協議グループだった。76年にカナダが加入し、G7となった。76年当時、この7カ国で世界のGDPの57%を占めるまさに主要国であったが、2022年のデータでは43%へと低下した。この事務局もない非公式な経済大国グループが、ソ連のアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争(石油源)をきっかけに冷戦を生き抜く自由主義陣営防衛のグループとなった。経済安全保障体制を維持するグループが自由主義という看板を掲げたのがG7である。
G7を理解するために役立つのはロシアの地位だ。冷戦終結直前の1991年にG7が当時のゴルバチョフ・ソ連大統領の参加を得てからロシアは継続してG7に参加し、1998年に正式にメンバーとなりG7はG8となった。当時、石油・ガス資源大国ロシアが、自由主義陣営の仲間入りと期待した人も多い。
しかしNATO加盟を目指すウクライナを脅威とするロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を併合し、以後G7はロシア抜きで首脳会議を開催している。さらにロシアは2022年2月にウクライナ全土へ侵略を開始し、今回のG7イタリアでは、一昨年のドイツ、昨年の日本のG7に続きウクライナ戦争が最優先議題となった(成果文書では温暖化、人工知能、移民問題などは後付けとなった)。
ロシアを蹴り出したG7だが、ロシアの資源からは離れられない。ロシアに対する経済制裁にもかかわらず、G7メンバーの日本、フランス、イタリアは継続してロシアの天然ガスを購入しており、ドイツはベルギーとオランダ経由で購入、英国はフランスの石油会社を通じて購入していると報道されている。
G7イタリアの最大の注目点は、ウクライナ戦争継続のための資金調達が決まったことだ。まずG7が創設するウクライナ支援基金に拠出し、その資金をウクライナに貸し付ける。その返済は、ロシア中銀が主に欧州のG7各国内に持つ凍結資産の運用益から引き落とす資金にする仕組みだ。この仕組みの背景には、G7各国民のウクライナ戦争疲れがあるため、サミットの「成果」と前向きに判断するのは早急だ。ウクライナ戦争疲れはロシア支持を意味しないが、国内優先の各国民の気持ちは先の欧州議会選挙の結果に現れている。G7の自由主義の看板を揺るがす次の岐路は11月5日の米国大統領選挙である。