The World Commentary No.55

人事と党規約からみる第20回中国共産党大会

中国政治の大きな特色は共産党による一党支配にある。2022年10月16日から22日までの7日間、最重要の政治イベントである第20回共産党大会が首都・北京で5年ぶりに開催された。大会数日前に北京中心部の高架橋で習近平政権を批判する横断幕が掲げられたり、大会の閉幕式では胡錦涛前総書記が途中退場するなど話題も多く、海外メディアは先を競って報道した。

大会初日に行われた習近平総書記の政治報告自体は、内容的には強国化や祖国統一の道を進む方針を示すなど、新味に乏しいものであった。一方で、9671万人の党員を代表する約2300人の大会参加者を前に、1時間45分という長時間のスピーチを自信満々に行った習総書記の姿は印象深く人々の目に映ったと感じる。

今回の党大会および習政権三期目の発足にあたり、筆者が注目すべきポイントと考えるのは、党上層部人事および党規約改正に関する二点である。前者からは習氏への権力集中の度合い、後者からは習氏の権威化の程度が分かる。なお、メディアによる予測を裏切る事態の展開も多く、今回、中国理解の難しさを実感させられた。

まず人事面では、党大会直後の会議で、最高指導部と呼ばれる政治局常務委員(7名)、その下の政治局委員(24名)が選出された。新たに最高指導部入りした4名の内、かつて習氏の直属部下であった者は3名で、明確な側近人事といえる。また、以前は習氏のライバルであり、最高指導部に留まるとみられていた李克強首相が退任となった。さらに、女性の政治局委員が20年ぶりに不在となり、1970年代生まれを中心とする第七世代と呼ばれる若手も中央委員(党序列の上位205名)に抜擢されなかった。

次に党規約の改正である。党規約は党の最高規則であり、一党支配の中国では、国の憲法以上の重みをもつといわれる。今回、習氏が重視する格差是正を目指す「共同富裕」は党規約に盛り込まれた。一方、明記されると報道されていた「二つの確立」(習氏の党の核心としての地位、政治思想の指導的地位を確固たるものにする)は見送られた。筆者も、党大会で採択された党規約全文が掲載された10月27日付『人民日報』の原文を確認した。背景として、党規約第二章第十条⑹に「党はいかなる形の個人崇拝も禁止する」との文言があり、習氏の権威を過度に高める表現がこれに抵触した可能性もある。  

習氏の権力集中と集団指導体制の形骸化は並行して進んだ。今後、習氏の権威化が強まれば、党規約の文言にもその影響は及ぶのだろうか。