The World Commentary No.2

先行き不透明な朝鮮半島の非核化

朝鮮半島の非核化をめぐる米朝間の交渉は続いているが、期待は一向に高まらない。7月上旬には、ポンペオ米国務長官が3度目の訪朝を果たし、朝鮮労働党中央委員会の金英哲副委員長と2日間にわたり協議したが、非核化の方法や行程の具体化を求める米国と、非核化に向けて努力する姿勢を示すことと引き換えに、経済制裁の軽減や在韓米軍縮小といった成果を先に得ようとする北朝鮮との温度差が改めて浮き彫りとなった。
 6月12日の米朝首脳会談以降、トランプ米大統領は今後の非核化の進展に楽観的な認識を示してきたが、すでに核兵器製造に必要な技術を獲得し、現に核兵器を保有する北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を実現することは非常に困難である。このことは、いくら強調しても強調しすぎることはない。
 第一に、核兵器を完全に手放すことは、北朝鮮にしてみれば唯一の交渉カードを失うことを意味している。そもそも、本気で非核化を実現する意思があるのかどうかも疑わしく、実際、北朝鮮は過去に国際的合意を何度も反故にしている。仮にその意思があったとしても、北朝鮮側が米国側の約束をどの程度信じられるのかという問題もある。欧米諸国の説得に応じて裏目にでた、リビアのカダフィー氏の前例も記憶に新しいはずである。
 第二に、非核化の具体的方法に関しても難題が多い。非核化を進めるに際し、まず、北朝鮮が保有する核弾頭や核関連施設の状況と、これまで製造した兵器級核物質の状況を正確に把握する必要がある。北朝鮮側の申告を元に検証が進むことになると思われるが、たとえば、北朝鮮が兵器級
核物質を山岳部の地下などの未申告の場所に隠した場合、査察団はこれを見破ることができるだろうか。また、北朝鮮がこれまでに蓄積した核兵器関連の知識やデータの問題もある。核開発に関わった科学者を全員国外に連行するわけにもいかず、知識やデータを完全に消し去ることは難しい。少なくともノウハウは北朝鮮に残ることになる。
仮に、近い将来、この問題に関して何らかの進展があったとしても、手放しで喜ぶことはできない。なぜなら、たとえ保有する核兵器を一端放棄したとしても、兵器級の核物質さえあれば、核兵器を再び製造することはそれほど困難ではないからである。