アメリカ社会の分断は継続する、というのが今回の中間選挙の結果だろう。トランプ前大統領の影響力の衰退が見えた向きもあるが、バイデン大統領も相変わらず不人気である。上院を引き続き制し下院でも一桁の敗北で乗り切った民主党の善戦は、2つの過激主義に対する有権者の「ノー」があったからだ。
投票結果で明らかになったのは、民主・共和が拮抗する激戦選挙区では、人工中絶の違法化が差し迫った州と2020年大統領選でのトランプ氏の敗北を拒否する候補が出馬した選挙区では民主党が勝利し(例:カンザス州、ミシガン州、ペンシルバニア州、アリゾナ州)、その反対に、人工中絶は州法で既に合法であり且つトランプ氏の2020年大統領選の敗北を認めた共和党候補の選挙区では共和党が勝利している(例:ニューヨーク州、オハイオ州)。
全国(連邦)で人工中絶が合法だった状況を連邦最高裁が覆し、中絶の是非を各州議会の判断に任せたのは今年6月末だった。これを受けて共和党の保守派候補は州法で人工中絶を違法化するべく中間選挙で訴えたが、有権者はこれを過激と見て阻止した。さらに、2020年大統領選でのトランプ氏の敗北を拒否する共和党候補のうち約7割が落選している(11/10時点のワシントンポスト紙、BBCの集計)。重要なのは将来で、過去ではないという共和党有権者のメッセージなのだろう。
統領の政策遂行のハードルが上がったことになるが、民主党は上院をかろうじて再び制したため最高裁含め連邦判事や検事の任命など司法の要職に大統領の判断が反映できる体制が整った。
次は2024年11月5日の大統領選である。バイデン大統領は来年早々に正式に出馬の是非を発表するという。トランプ氏は3度目の出馬を発表したばかりである。ただ、2024年にバイデン大統領は82歳、トランプ氏は78歳になる。両党にはもっと若い大統領候補はいないのか、というのが真っ当な疑問であるが見つからない。若者層とヒスパニック層を取り込み、白人の労働者階級にアピールできる候補は誰なのだろうか?
次期大統領を目指し、民主・共和両党とも2023年を最大限利用してバイデン大統領とトランプ前大統領に対する批判を強めるだろう。そして、アメリカの分断は継続するのである。