The World Commentary No.22

国連75周年:国連憲章を再読しよう

75年前に制定された国連憲章の国際協調の精神は、メンバー国がその精神を誠実に行動に移さないと、忘れられてしまう。

今年の国連総会演説は感染症対策で史上初のビデオ演説となったが、グテレス国連事務総長はCOVID-19パンデミック対策に言及し「ポピュリズムと国家主義は(感染抑制に)失敗した」ためグローバルな連帯を呼びかけ、地球温暖化対策では自然との共存のための「新しいグローバル取り決め(a new global deal)」を通じ、グローバルな協力を世界に呼びかけた。

これとは対照的に、今年トランプ大統領は7分という短く早口のビデオ演説で、アメリカは「中国ウイルス(china virus)をやっつける」と中国を名指して批判し、11月4日の大統領選向けのスピーチを展開した。昨年は、「グローバル主義者のために未来は無い。未来は愛国主義者のためにあるのだ」と国連総会で演説し、国連を批判した大統領である。

一方、中国の習近平主席は羽振りがいい。自信に満ちた表情のビデオ演説では、国連を褒めちぎり、中国はグローバルな平和を構築し、開発に貢献し、多国間秩序の擁護者であると強調し、COVID-19対策で明るみになったのは国際協調、持続可能な開発の重要性と国際貿易の推進であると自らをアピールした。

菅首相は、国連を中心とした中立・公正なガバナンスと多国間主義の推進、国際平和への貢献、法の支配の維持を中心に、多国間主義から

離れるアメリカと、国際法を無視して南シナ海へ進出する中国を牽制した。米国と中国とは違い、SDGs(持続可能な開発目標)の推進に何度も言及し、その達成に再コミットしたところが真新しい。

以上、米・中・日は世界の名目GDP国別ランキング(2018年)の上位1・2・3で、その経済規模は世界の45%を占める。しかし、アメリカ(24%)と中国(17%)がダントツで成長しており、日本の割合はほんの6%で、毎年縮小している。国連への分担金は国の経済規模に比例するので、米・中の分担金もダントツ1・2位だが、第3位の日本の金額は縮小するばかりである。加えて、日本は頑張っても安保理の非常任理事国である。政治的にも経済的にも常任理事国のアメリカと中国の協調こそが、国連にとって重要なのだ。

来る10月24日は国連デー(75年前に国連憲章が発効した日)である。戦争を違法化し、人権を守り、社会経済開発の推進を謳った国連憲章を再読して、国際協調の精神をもう一度振り返る日にしたい。