テロリスト一掃のための軍事侵攻という当初の目的が、いつの間にか国づくりへ変貌した国際社会のアフガニスタン介入は、惨めな結果となった。2001年9月の米国における連続テロ事件の主犯アルカイダを匿ったタリバンの一掃は一旦成功したと見えたが、タリバンはゲリラ戦を粘り強く展開し、ついに8月15日に首都カブールに侵攻し、新政権の樹立の準備に入った。世界銀行出身のガニ大統領は国外へ脱出した。
この20年戦争をリードしたのはアルカイダに攻撃されたアメリカであるが、世界各国はもろ手を挙げて国づくりに参加した。国連安保理の要請を受け、日本政府は2002年と2012年にアフガニスタン支援国会合を東京で主催し、空港建設などこれまで約69億ドル(今日のレートで約7,500億円)の支援を実施した。
アメリカ議会が設置したアフガニスタン復興に関する特別監査官(SIGAR)報告書(2021年8月付)によると、アメリカはこの20年間で1,450億ドルを復興に費やし、これに加え別予算で8,370億ドルの戦費を費やした。そして、2,443名の米兵が戦死、1,144名の同盟国兵士(主にNATO)が戦死、アフガニスタン国軍は最低でも66,000名の兵士が戦死したという。
このSIGARが2015年に実施した、アフガニスタン担当国務次官補だったリチャード・バウチャーとの面接記録があるが(機密部分は黒すみで消去されている)、これによるとアフガニスタンの国づくりは失敗であり、米国支援費の多
くは復興に携わる企業やコンサルタントなどに流れ、10-20%が実際にアフガニスタンに届き、そのうちほんの10%が実際に村落レベルで使われる状況と、赤裸々に復興努力を批判している。戦争と復興は巨大なビジネスに変貌していた。
アフガニスタン人と共に汗をかく最中に2019年に殺害された中村哲医師は2013年の著書『天、共にあり』でアフガニスタンの復興努力の行き詰まりを見てこう表現している:「「欧米軍対タリバン」という図式は消え、銘々がカネや復讐や政治的意図で暴力集団に参加したり、逆に反発したりして、戦っているだけであった(p.237)」。 タリバンはどんな国づくりをするのだろうか?新政権の国際承認を目指すため大弾圧は控えるだろうが、承認されたらイスラム規律の厳しい国家作りで女性の地位は激しく低下するだろう。国家予算の7割を占めた外国支援はもう見込めない。正当性と資金の獲得を目指すタリバンに国際社会はどう対応するのだろうか?