2024年10月22日から25日まで、BRICSの首脳会議がロシア中部のカザンで開催された。採択された共同宣言には、より公平な国際システムを促進していくことや、ドルに依存しないあらたな決済システムの検討を継続すること等が盛り込まれた。
BRICsは元々、ブラジル、ロシア、インド、中国という新興4カ国のグループを示す金融業界の造語だった。その後、2008年の世界金融危機を契機に、2009年からこの4カ国の首脳会談が公式に開催されるようになり、2011年に南アフリカが加わった後、BRICSが正式名称となった。以後、首脳会議を毎年開催している。2024年1月には、イラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦がBRICSに新規加盟し、今回の首脳会談では、あらたに13カ国をパートナー国として承認することになった。
すでに多くの報道で指摘されているように、今回のBRICS首脳会談の結果は、ロシアが国際的に孤立していないことを示す一方で、カザンに集まった36カ国の指導者が「反欧米」で団結しているわけではなく、同床異夢の状態にあることを示している。冷戦の再来を懸念する声もあるが、BRICSがさらに拡大したとしても、それが直ちに世界の緊張悪化につながるわけではないだろう。
とはいえ、「非欧米」の国際フォーラムとしてBRICSが存在感を強めていることは、今後の国際情勢を占う上で決して無視することはできない。G7などの先進国に対する新興国・途上国の不満は根強く、それらの国々にとって、発展モデルとしての先進国の魅力も明らかに低下している。新興国・途上国の拠り所として、BRICSの影響力が今後相対的に高まる可能性は十分にある。また、欧米諸国と対立する国々にとっても、BRICSのような枠組みの利用価値が今後さらに増大すると思われる。
2024年6月にロシアと北朝鮮は包括的戦略的パートナーシップ条約に調印しているが、同条約には、軍事協力に関する条項のほか、北朝鮮の国際的協議体への参加をロシアが支援するという趣旨の条項も含まれている。実際、ロシアで開催された本年6月のBRICSスポーツ大臣会合や9月のBRICS女性フォーラムに北朝鮮の代表が参加している。現時点では憶測の域を出ないが、北朝鮮が国際的孤立から脱却するため、今後、ロシアの力を借りてBRICSへの加盟を目指す可能性も否定できない。
アメリカ大統領選挙の結果、トランプ前大統領が返り咲くことが決まり、2025年以降、アメリカが国際協調から後退することも予想されている。今後、不可避と思われる世界の分極化・多極化がどのような形で進展していくのか。拡大するBRICSが果たす役割にも、注視する必要がありそうである。