2019年8月24日~16日にフランスのビアリッツで先進国首脳会議(G7)が実施された。今回の会議に先立って、議長国フランスのマクロン仏大統領は欧米間の意見の隔たりが大きいことから、共同宣言を出さないことを事前に通告するなど、これまでの慣習では考えられない異例のサミットとなった。
1974年にフランスのジスカール・デスタン大統領と西ドイツのシュミット首相が提唱して始まった先進国首脳会議の大きな目的は、様々な国際問題に先進7カ国が一致して取り組む姿勢を示すことにあったはずである。1970年代は経済問題、1980年代は「西」側の結束、1990年代は冷戦後の秩序形成、2000年代は対テロ対策、2010年代は協調的な通商関係など、その時々でテーマに差異はあれ、先進7カ国が一致して問題解決に当たる姿勢を示すことに狙いがあった。
今回は、通商問題では、米中貿易戦争や米国のTPP離脱に表れているように、米国が協調路線から対抗路線へと舵を切っている。地球環境変動問題に関しても、米国はパリ協定からの離脱を表明し、全世界で取り組むべきグローバルな問題で、米国第1主義を優先させている。
確かに、シェルパ(首脳会議専属の官僚)が主導する形で、長い宣言文を準備するサミットにどれだけの意味があるのか、といった議論は従来から聞かれていた。本来なら、7カ国の首脳がひざを交えて、率直な意見交換をする場所として設定されたはずのサミットが、無難な共同宣言の発信場所になってしまったことに対して、批判的な意見は存在していた。しかし、今回は率直な意見交換以上に、意見の亀裂が激しく、7カ国としての一致した見解を提出できたのは、WTO改革や、デジタル課税のルール作り、香港情勢への懸念などに留まっている。
また、出席した首脳の中で、安倍総理を除けば、国内の不安定な政情を抱えており、国際も問題に積極的に関われる余裕はなかった。コンテ伊首相は辞表を提出したばかりだったし、ジョンソン英首相は英国のEU離脱問題を抱えている。各国で自国第1主義勢力が伸長する中で、国際協調的な発言をすることは極めて難しい局面にあったと言えよう。
対イラン問題についても、米国が主張する有志連合の方向には進まず、ロシアのG7復帰は米国以外全員反対で拒否されるなど、G7の結束を見せるはずのサミットは皮肉なことにその亀裂を露わにすることになってしまった。