The World Commentary No.10

G20:米国に振り回される地球温暖化対策

G 20 は G7 先進国と新興国を合わせた、地球規模の経済問題を議論し対策を打ち出す重要なグループです。今回は米中貿易摩擦が主要懸案事項でしたが、将来の世代にツケを回しかねない地球温暖化対策の行方も注目されました。

世界の地球温暖化ガス排出量の約 80%を排出する G20 各国は、若者の将来を左右する地球温暖化問題にどう取り組むのでしょうか。海面上昇、沿岸域洪水、河川氾濫、猛暑、突発性豪雨や干ばつなど次の世代に負担を残す地球温暖化問題は将来の世界経済の盛衰に直結する世界の重要問題です。残念ながら G 20 大阪サミットで打ち出された地球温暖化対策声明は、アメリカに配慮した極めて弱い内容となりました。

G 20 大阪声明は、「温暖化」という言葉に触れず、国連や科学者による温暖化対策提言に「留意(note)」すると最も弱いコミットメントに留まりました(強い言い方から弱い言い方は endorse(賛成する)→ support(支持する)→ welcome (歓迎する)→ acknowlegde(認める)→ note(留意する))。さらにアメリカはこの宣言に独自の段落を挿入し、パリ協定からの脱退を再表明しその理由は「米国の労働者と納税者を不利にする」からだと謳いました。

一方、若者による温暖化対策強化の要求は世界で益々高まっています。特に温暖化に対する危機意識の高いヨーロッパでは、まだ選挙権の無い中高生が各国政府に対して温暖化対策の強化を訴える運動を起こしています。

次の温暖化対策の重要外交舞台の一つ目は 9 月のニューヨークでの国連会議 ”Climate Action Summit”です。これに向けてグテレス国連事務総長は、2030 年までに温暖化ガスの排出を 4 割削減し 2050 年までに炭素ゼロ排出を達成するための具体的な行動計画を発表するように各国に要請しています。

二つ目の外交の山場は、チリが 12 月に主催する第 25 回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で、そこでも温暖化対策の具体的な行動計画を議論する予定です。

ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁は、地球温暖化を止めにくい理由の一つには石油や石炭産業へ各国政府が支出する年間 5000 兆円もの補助金があると指摘し、その補助金を再生可能エネルギー開発の補助金や、教育と保健の予算に回すべきだと言います。上記 2 つの会議で、将来の世代のために温暖化ガス排出削減の具体的な行動が出るか、注目したいと思います。